相続の知識

相続税を軽減するための生命保険の活用

数ある生命保険の中で、相続対策に有効なのは「1 つの種類」だけです。

ここで、具体的な加入例を挙げて説明してみましょう。

※相続人 4 人(配偶者と子ども 3 人)の場合

<条件>
相続税が課税される場合{その中から現金(預金額)2000 万円を切り取って相続税を計算した場合}
現金2000 万円に対する相続税=250 万円(2000 万円×15%−50 万円)

上記は、相続財産のうち、現金2000 万円だけ切り取って計算すると納める相続税が250 万円になるという意味です。
その分の現金 2000 万円を相続が起きたときに活用できる保険に一括前納したならば、被相続人が亡くなって相続が起きたときに受取人(相続人)に対して「2000 万円の保険金(現金)が支払われる」ことになります。

そのとき、保険会社から支払われる2000 万円は非課税扱{500 万円×4 人(相続人)}のために相続税を納める必要がないのです。

そのために、同じ2000 万円を現金や預金で持っているよりも、保険会社へ保険料として預けておいて、相続が起きたときに保険金として戻ってくるほうが、納める相続税が250 万円も少なくて済むのです。

上記の例で、相続税が250 万円も少なくて済むというのは、どちらかといえば「個人保険のレベル」ですが、法人が加入している「経営者保険」の場合は、相続につながらない(活用できない)ことで失う損失額が個人保険よりも大きいのです。

上記の「個人保険」の月払保険料が50,000 円の場合(個人保険としては高額ですが、説明をわかりやすくするために、ここでは、あえて、この例で説明します)

法人企業が加入している経営者保険の月払保険料が500,000 円の場合は、経営者保険のほうが「個人保険よりも保険料が10 倍多い」ために、相続につながらないことで「失う損失額が個人保険よりも10 倍大きい」ことになります。

それは、営業利益に置き換えたときの「粗利」にあたるために、純利益(経営者保険が相続対策に活用できないことによる「実際の損失額」)を算出するためには、企業が経営者保険に加入して保険料を損金処理したことで「軽減できた法人税が、総額でいくらなのか」を確認(検証)すれば良いのです。

このように話をすると「経営者保険は会社の金で保険料を払うのだから、役員(個人)の相続と関係ないじゃないか」という企業経営者がいますが、それは一見「筋の通った話」のように聞こえますが、しかし、それは間違った考えです。

その理由は、会社の経営者であろうと、一般社員であろうと、企業活動の結果、目標とするところは「(家族を含めた)本人の幸福」です。そのために「経営者保険は会社の金で保険料を払うのだから、役員(個人)の相続と関係ない」というのは間違った考え方です。特に中小企業の場合は、オーナー経営者が多いために現役を引退した後、老後生活に入ってすぐに「相続の問題」が待ち構えているために、そのための準備である「相続対策」を疎かにすることはできません。

さらに、企業経営者が理解するべきことは、相続につながらない(立たない)保険(現在加入している経営者保険)と相続につながる(役に立つ)保険の保険料は同程度であるために会社として支払う費用には差がないのです。

さらに理解するべきことは、保険会社が経営者保険を販売するために用いる「法人企業が経営者保険のために負担する保険料は損金扱いになります」というフレーズは単に「法人税の納税を先送りできる」ことにすぎないことです。

生命保険の契約形態に注意せよ!
契約形態で税金の種類が変わりますので注意が必要です。

<契約の形態>

相続税の課税対象

契約者 被保険者 保険⾦受取人
被相続人(夫) 被相続人(夫) 相続人(妻)

贈与税の課税対象

契約者 被保険者 保険⾦受取人
配偶者(妻) 被相続人(夫) ⻑男

一時所得(所得税)の課税対象

契約者 被保険者 保険⾦受取人
配偶者(妻)) 被相続人(夫) 配偶者(妻)