相続の知識

特別受益と寄与分

特別受益(⺠法903 条)
相続人の中に、相続が開始前される前に被相続人から、結婚資金や住宅資金、または生活資金として贈与(特別受益)を受けた者(特別受益者)がいる場合、相続財産にその分を加えたものを相続財産として(持ち戻して)相続分を算定します。
※その場合、3 年以上前に贈与されたものも「持ち戻し」の対象です。
寄与分(⺠法904 条)
被相続人の財産の維持、増加について共同相続人の中に特別に貢献(寄与)したものがいる場合、相続財産から、その分(寄与分)を控除した残りを相続財産とみなして法定相続分を算定します(寄与分は特別に貢献した者の相続分に加算されます)
寄与分は、共同相続人の協議で決めますが、協議によって決まらないときは家庭裁判所へ申し立てます。
分割協議
分割協議は、相続人が複数いる場合、相続分による遺産の取得割合が決まったとしても、具体的に、誰が、どの財産を取得するか決めなければならないために、そのための協議をすることです。
指定分割
指定分割とは、被相続人が遺言で遺産の全部または一部について、相続人に分割する方法を決めること、または、そのために弁護士などの第三者へ委託することです。
協議分割
共同相続人全員の協議によって遺産を分割する方法です。
※相続人全員の参加と同意が必要です。
※すべての遺産の分割が成立していなくても、分割が成立した一部の財産について遺産分割協議書を作成することができます。

(重要)
協議の結果、遺言と異なる合意があった場合は、協議分割が遺言よりも優先します。
遺産の分割は、相続開始時にさかのぼって効力を開始します。

分割方法の種類
遺産分割の方法には以下のものがあります。
現物分割 今ある財産を、そのまま分ける。
「A 銀⾏の預金は⻑男が相続。⾃宅の⼟地は次男が相続」
換価分割 共同相続人が相続財産の一部、または全部を現金に換えて分割する。
「⾃宅を売った8,000 万円を相続人で分ける」
代償分割 相続財産を、もらう代わりに⾃分の財産(現金)を差し出す。
「⻑男が、会社の株を全部相続して⾃分の持っている現金5,000 万円を次男に渡す」