相続対策Q&A

「法定相続」とは何ですか?
法定相続とは民法で定められた相続人と、その相続分です。
法定相続人と相続分について教えて下さい。
法定相続人となる人は、被相続人の「配偶者」「子」「直系尊属」「兄弟姉妹」です。
法律によって定められた各相続人の相続割合を法定相続分といいます。
「指定相続」とは何ですか?
指定相続とは、被相続人の遺言によって指定される各相続人の遺産分配の割合をいいます。 指定相続は、相続人の遺留分を侵害しなければ、どのように遺産分割することもできます。
相続財産には、どのようなものが含まれますか?
次のようなものが相続財産に含まれます。

不動産(土地、建物)現金、預貯金、小切手、株式、家具、自動車、貴金属、ゴルフ会員権、絵画、骨董品貸付金、電話加入権、生命保険の保険金、死亡退職金 その他
※生命保険の死亡保険金と死亡退職金は「500万円×相続人の数」が非課税扱になります。

一次相続とは何ですか?
一次相続とは、夫婦の一方が死亡して起こる第1回目の相続のことです。
一次相続の遺産分割は、二次相続までを考慮して行わないと結果的に相続税を余分に納めて損をすることになるために注意する必要があります。
二次相続とは何ですか?
二次相続とは「一次相続」の後、遺された配偶者が死亡して起こる第2回目の相続のことです。一次相続の遺産分割は、二次相続までを考慮して分割しないと相続税を多く納めて損をすることになるために注意する必要があります。
二次相続で注意するべき点は何ですか?
一次相続の場合は「配偶者の税額軽減」(法定相続分または16,000万円のいずれか大きいほう)を受けることができるのに対して、二次相続では相続人が一人分(配偶者が)減る上に配偶者が受けることができた税額軽減措置が使えないために、その分の相続税が増えることになります。
そのために、財産の状況に応じて、二次相続までを考慮して(配偶者の財産が多くなりすぎないように注意して) 一次相続の相続分を確定することが大事です。
「課税価格」とは何ですか? 実際の財産額とは違うのですか?

「課税価格」とは、相続税を算出するための基礎となるもので、財産の内容によって実際の価格と同じものと異なるものがあります。

たとえば「現金」の場合は「課税価格」と同額で差はありませんが、土地(宅地)の場合は、実勢価格(実際の取引価格)ではなく「路線価」が課税価格(相続税評価額)になります。
このように「課税価格」と「実際の財産額」との間に差異がある場合は、遺産分割をめぐり、しばしば争いの原因になることがあります。

その一例をご説明しますと、親が亡くなって遺った財産は古い家と土地(建物の敷地)だけで子どもが二人(長男と次男)いる場合、それを長男が相続する場合、次男が相続できる財産は何もないことになります。このような場合は、相続税を納める必要はありませんが「遺産分割」の問題が残ります。

長男が相続した財産のうち古い家は、それほど財産価値がありませんが、宅地は一定の価値があるために実際の財産は「相続税評価額」ではなく実際に売却して得られる「市場価格」であるために、相続人同士が遺産分割を行なう際は「課税価格」ではなく実際の財産評価(市場価格)を基に協議を行なう必要があります。

路線価とは何ですか?
路線価とは、相続税の課税価格を算出するための基準となるもので、市街地を形成する地域の路線(不特定多数が通行する道路)に面する宅地の評価額(1m2あたりの単価×面積)です。路線価には相続税や贈与税の基となる相続税路線価と、固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登録免許税の基となる固定資産税路線価があります。
相続放棄について教えて下さい
相続を放棄することで「プラスの財産とマイナスの財産の両方」を相続しないことになります。相続を放棄する場合は、相続発生後3か月以内に相続人全員で、その旨を家庭裁判所へ申し出る必要があります。
手持ちの納税資金がない場合は、どうなりますか?
相続税を納めるための納税資金がない場合は不動産などを「物納」して相続税を納めることが可能です。
「物納」は損ですか? 得ですか?
一般的に「物納」が得であるということはありません。 そのような事態になるのを避けるために十分な時間をかけて生命保険などを活用することをお薦めします。
遺留分とは何ですか?

ある相続人を相続人から排除しようとする場合、法律上、最低限度の相続権(相続分)が保障されています。そのことを「遺留分」といいます。遺留分は法定相続分の2分の1です。兄弟姉妹には遺留分がありません。

※遺言書等を用いて「指定相続」とする場合は、最低限度、他の相続人の遺留分を侵害しないように注意する必要があります。

遺留分が認められるのは相続人の中の誰ですか?
遺留分が認められるのは「配偶者」と「子」と「親」と「祖父母」などの直系尊属です。
代襲相続とは何ですか?
代襲相続とは、相続人に代わって(親の死亡などにより子が)相続権を行使することです。
代襲相続が認められる相続人の範囲は、どこまでですか?
代襲相続が認められるのは、被相続人の「孫」(子どもの子)と「甥・姪」(兄弟姉妹の子)です。
(甥・姪の子(兄弟姉妹の子どもの子)が代襲相続人になることは認められていません)
相続財産が同じ(課税価格が同額)ならば一次相続と二次相続、どちらに配慮するべきですか?
遺産額が同じ(課税価格が同額)ならば、一次相続よりも二次相続に配慮したほうが相続税を軽減することができます。その理由は、一次相続に比べて二次相続のほうが、配偶者の税額軽減が使えないことに加えて相続人が一人(配偶者の分が)減って、その分の相続税が増えるために一次相続だけでなく二次相続に配慮することを怠ってはなりません。
「相続対策」と「相続税対策」の違いは何ですか?

「相続税対策」は、節税を目的に行なうものですので、相続税を納めるほどの資産家でなければ実施する必要はありませんが「相続対策」は、相続税を納める必要のない方も実施する必要があります。

その理由は、相続は、いずれ誰の身にも必ず起こるもので、そのとき相続税を納めるほどではなくても、いくらかの財産は残るもので、その財産をめぐって「相続」が行われるからです。そのときのために特別なことをする必要はなく、現在加入している生命保険を「相続が起きたときに活用できるように見直す」ことで相続人同士の争いを避けて円満相続に導くことができるのです。

相続対策を行なう上で「大事なポイント」は何ですか?
相続が起きたときに、現在所有している財産に対して相続税を納めなければならないか、納める必要がないか計算して明らかにすることです。相続税を納めなければならない場合は、生命保険を活用することで相続税が、どの程度軽減されるかを明らかにすることです。
相続対策に「遺言書」を活用するメリットは何ですか?

遺言書を活用するメリットは、遺産の分割について遺言書に記載しておくことで相続人の遺産分割協議が不要になるために遺産をめぐって相続人が争うことを未然に防ぐことができることです。

また、内縁の妻など法定相続人以外に遺産を分け与えたい場合は、遺言書による被相続人の意思表示が必要となるために、そのような場合は、遺言書を活用することで通常では相続人になりえない人であっても(他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で)財産を受け取ることができます。

遺言書に遺産の全てを記載しておくことで、金融機関などの手続きもスムーズに行うことができるために遺族の負担を大幅に軽減することができます。

相続対策のために生命保険を活用するメリットは何ですか?

生命保険を活用するメリットは、以下のとおりです。

  1. 相続発生後、すぐに現金化できる(銀行預金の場合は凍結される)
  2. 相続を放棄しても保険金を受け取ることができる
  3. 死亡保険金は受取人の固有財産のために遺産分割の対象外である
  4. 保険金受け取りに関して「500万円×相続人の数」が非課税扱になる
  5. 遺産の増加と納税資金を同時に並行して準備できる

※上記は、他の金融商品にはない生命保険だけがもつメリットです。

子供がいない夫婦の場合「遺言書を活用したほうが良い」というのは何故ですか?

子どものいない夫婦の夫が亡くなった場合(その時点で夫の両親がすでに他界している場合)法定相続人の相続分は次のようになります。

  • 配偶者  = 3/4
  • 兄弟姉妹= 1/4

(亡くなった兄弟姉妹がいる場合は、亡くなった兄弟姉妹の子(甥や姪)が代襲相続人となる))

このような(相続財産が非課税範囲で相続税が課税されない)場合であっても兄弟姉妹や兄弟姉妹の代襲相続人である甥や姪から遺産分割の請求がなされたら、相続分(1/4=25%)を分け与えなくてはなりません。

そのような場合、元もと、兄弟姉妹には「遺留分」がないために、被相続人が亡くなる前に「財産のすべてを妻○○子へ相続させる」という内容の遺言書があれば、配偶者がすべての財産を相続することができるのです。

そのために、子どものいない夫婦の場合は、相続税が課税されない場合であっても(できれば夫婦がお互いに)「遺言書」を準備しておいたほうが良いことがお分かりいただけると思います。

まして、子どものいない夫婦が資産家で相続税が課税される場合ならば、尚のこと「遺言書」を活用するメリットが大きいことになります。

「暦年贈与」とは何ですか?
「暦年贈与」とは1年毎に贈与することです。一人の贈与人から「暦年贈与」で贈与を受ける場合の基礎控除額は110万円です。110万円を超えた分について一定割合の贈与税が課税されることになります。
「相続時精算課税制度」とは何ですか?
「相続時精算課税制度」とは、60歳以上の父母又は祖父母から20歳以上の推定相続人である子や孫に対して財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。
この制度を選択する場合は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付して贈与税の申告書を提出する必要があります。
「相続時精算課税制度」を選択した場合は、その年の分以降、すべて「相続時精算課税制度」が適用されて「暦年課税」へ戻すことはできないために注意する必要があります。
「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」どちらが得ですか?
一概に、どちらが得とは言えませんが、もともと、相続税が課税されない場合は「相続時精算課税制度」を利用して相続が起きる前に(生前贈与で)遺産分割ができるために有効です。
「相続時精算課税制度」を活用した場合は、贈与を実行した時点の課税価格で確定するために将来、値上がりが期待できる財産や収益物件(アパートやマンションなど収益をもたらす物件)を贈与した場合は、節税効果が期待できます。
贈与を実行した日を保全(証明)する方法はありますか?
公証役場で贈与を実施した日を証明してもらい、贈与者と受贈者が一部ずつ保管することです。
相続税が課税されなくても生命保険を活用するメリットはありますか?

たとえば、相続人が兄弟3人で母親が数年前に亡くなっていて長男が実家で父親と同居していて「父親が亡くなった後の実家の家と土地は長男が相続することになっている」という、いわゆる(財産といえるものは「実家の家と土地だけ」という場合)

このような場合、長男は実家の家と土地を相続することができますが次男と三男は「何ももらえない」ことになってしまいます。次男と三男から「遺留分」を請求されたら実家の土地を売らなければならなくなるかもしれません。

そのような場合は、前もって被相続人の健康状態が良好なうちに保険に加入しておいて相続が発生したときに次男と三男に残す財産を「今ある財産の外から(保険金という現金を)用意する」ことができるために相続税が課税されない場合でも、生命保険をそのように活用することでメリットを得ることができます。

高齢者にとって有効な相続対策はありますか?
財産を所有している本人が、すでに高齢の場合や、健康上の理由で保険に加入できない場合は、保険に加入する人を「配偶者や子」にして払い込む保険料を本人から配偶者や子へ「毎年贈与する」ことで相続税を軽減して納税後の財産を増やすことができます。
その場合、税務署から「連年贈与」を指摘されないために注意しなければならない点がありますので、個別にご相談下さい。
親から子へ現金を贈与して保険に加入するメリットは何ですか?

親から子へ現金を贈与して保険に加入する場合「親と子の両方にとってメリット」があります。まず、親にとってのメリットは、親から子へ保険料を贈与することで贈与した分の相続財産(課税価格)が減少するために、その分の相続税が安くなります。

子どもにとってのメリットは、親から子へ保険料の「贈与」を受けた分だけ「子の財産」が増えたことになります。その結果、それまで子どもが、自分が加入していた生命保険を中止(解約)して、その分を貯蓄に回すことができます。

親から子へ保険料を贈与する場合、贈与税が課税されるのではないですか?
毎年、暦年贈与の基礎控除(110万円)の範囲内で相続対策を行なうだけでは十分な節税効果が得られない場合は、ある程度の贈与税を納めても、それを上回る節税効果があるか実際の遺産額と相続形態(相続人数など)に合わせて計算して実効性のある相続対策を行なう必要があります。
保険料の払い方で「全期前納」とは何ですか?
「全期前納」とは保険料の払込期間全期間分を「一括前払」することです。「前納」の基本の払方は年払いです。払込期間のうちの一定年数分を前納する「一部前納」もあります。
「全期前納」と「一時払」の違いは何ですか?
前納は、未経過保険料(未充当分)がある場合は、死亡保険金や解約金が支払われる際に、その分が返金されますが、一時払いの場合は、未経過保険料という概念がないために死亡保険金や解約金が支払われる際に未経過保険料が返金されることはありません。
相続を放棄しても「生命保険の保険金」を受け取ることはできるのですか?
法律上、生命保険から支払われる保険金は、その他の相続財産と区別されて「受取人の固有財産」として扱われるために相続財産が借金などの「マイナス財産」のために相続を放棄した場合でも相続人が保険金受取人になっていれば保険金を受け取ることができます。
相続人が相続を放棄して「保険金」を受け取る場合「500万円」の非課税枠を使えますか?
相続を放棄して支払われる生命保険の保険金受け取りに関しては「500万円×相続人数=非課税」の適用を受けることはできません。
保険料を贈与する際に「注意すべき点」を教えて下さい。
親から子へ保険料相当額を毎年贈与する場合は、保険料合計額の「一括贈与(継続贈与)」と見なされないために注意しなければならない点があります。ここでは、その点について、あえて説明は控えますので、その点に関するご質問は、個別にお問い合わせ下さい。
「贈与契約書」は一度だけ(初年度に1回だけ)作成すれば良いのですか?
保険料相当額を贈与する場合に作成する「贈与契約書」は、最初の年に一回作成しただけでは2年目以降の保険料について贈与が有効であると認められないために「贈与契約書」は毎年作成する必要があります。
毎年作成する「贈与契約書」が有効であるために注意しなければならない点があります。その点については、ここでは説明を控えますので、個別にお問い合わせ下さい。